ホーム 読みもの 「それでお客様は喜ぶのか?」いつの時代も変わらぬ本質

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「それでお客様は
喜ぶのか?」
いつの時代も
変わらぬ本質

「それでお客様は
喜ぶのか?」
いつの時代も
変わらぬ本質

森正株式会社 4代目社長

森 駿

1991年生。大学卒業後に就職したデジタル広告会社では、採用責任者として戦略企画、チームマネジメント等に携わる。2018年4月、森正株式会社に入社し、企画室長として主にマーケティングやセールス、採用業務を担当。2023年4月、森正4代目社長に就任。「デザイン性・高品質・新価値創造」のDNAを守りながら、進化を続ける組織づくりを進めている。

伝統的な唐木仏壇に始まり、現代の住環境に合うデザイン性の高いオジリナル仏壇など、600種類ほどの製品を世に送り出している徳島県の森正株式会社。低価格志向が強まり、競合他社が次々と海外に製造拠点を移す中でも、国産を貫き、高品質を維持してきた。価値観がますます多様化している今、「祈りの世界はとてもクリエイティブだ」と考える同社の4代目・森駿社長に話を聞いた。

変わらないコアバリュー

High Design(高いデザイン性)、Best Quality(最高品質)、New Value(新しい価値の創造)。その3つが、原材料の仕入れから製材、加工、仕上げ、販売まで社内で行う私たちのコアバリューです。

基本的に新しく仏壇を製作する際は、プロダクトデザイナーの力を借りて、洗練されたデザインを実現しています。創業以来、国内生産(県内生産)を貫くことで、私たちの命綱である品質を守っています。と同時に、新しい自社商品が古い自社商品を淘汰してもいいというくらいの気持ちで、これまでにないモノを生み出せるように努めています。

というのも、時代とともに家族形態や住空間、生活様式が変わっていくのならば、私たちも進化を遂げていく必要があるからです。家具調仏壇やモダン仏壇を製造しているメーカーが会社をたたむ際に、職人を全員引きとり、製品ラインナップを増やしたのはその一例です。並行して、木を切る、穴を開けるといった単純作業を肩代わりする機械を導入するなど、効率化、合理化を進めています。

手遅れになってしまわないように常に先手を打ってきたのは、採用面でも同じです。現在、正社員の平均年齢は30代、経営陣や工場長なども40代と、業界としてはかなり若い部類に入ると思います。毎年、2〜3人ほどコツコツと新卒採用を続けてきた甲斐あって、そういったメンバーが現在、会社の中核を担っているのは胸を張れるところ。若い人が孤立せず、近しい年代の仲間で切磋琢磨したり、苦楽を共にできたりする環境も、社員の定着につながっていると思います。

信用される企業であり続ける

仏壇、仏具は高価なので、たとえ惹かれても即決せず、他店舗と比較したうえで購入を決断されるお客様がほとんどです。その結果、値段は張っても、森正の商品のデザインや質感が素晴らしいと、戻ってきてくださる方が多いのはありがたいことです。

お客様の要望を丁寧に聞き取り、それに合った適切な商品を提案する姿勢をご評価いただけているからか、「接客が親切で丁寧」だとお褒めの言葉をいただくこともよくあります。

もちろん、それは商品力があってこそ。私たちはプロダクトマネージャーとデザイナー、職人でチームを結成し、アイデア出しから製品化に至るまで、最大半年間かけて仏壇を開発しています。みかげ塗り、浮図塗りといった他社には絶対真似されない当社独自の技法も、創造的な精神によって生み出されたもの。ちなみに、10年保証、30年保証というサービスを業界で先陣を切って打ち出したのも私たちです。それだけ、自分たちの商品の品質に自信を持っているのです。

業界全体で後継者不足が問題視されている中、私たちが若い世代に伝統や技術を受け継ぐことができているのは、今でも「背中を見て学べ」に近い教育スタイルを実践しているからかもしれません。芸術家の子どもが幼い頃から一流のものに触れて育つことで、自然と芸術的な素養を身につけるのと同じように、当社の若い人たちは日頃からベテラン職人のトップレベルの技術を目にしながら一人前になっていく。それも私たちの強みのひとつだと思います。

「いいもの」が育む仕事への誇り

2代目の父親から「継げ」と言われたことは一度もないのですが、親戚など、周りの大人が皆、商売をしている環境で生まれ育ったので、いずれは会社を経営したいという気持ちは物心がついたときからありました。

大学卒業後、4年ほどインターネットの広告代理店で働いた私が森正に入社したのは26歳のとき。目に見えるモノがない世界で仕事をするなかで、実体のあるモノづくりに携わりたいという思いが膨らんできていたのです。転職や起業といった選択肢もありましたが、若いときから家業に携わることはマイナスではないと考えていました。

私が思うに、祈りの世界はとてもクリエイティブです。故人をどう偲ぶか、何に価値を見出すかは三者三様で、極論、その人がパソコンを仏壇と思い込めるならそれで成立するような世界です。「もし自分の父親が亡くなったら、写真を保存しておけるUSBがあれば十分」と話す友人もいるくらいです。

私たちの使命は、私たちの商品を通じて心が安らぎ、前を見て歩き出せる人を一人でも増やすこと。そのためなら形にこだわる必要はありませんが、「それでお客様は喜ぶのか?」という問いはいつの時代も変わらず存在し続けると思います。

自社で一貫して高価格帯の商品を生産することにこだわってきた賜物なのか、当社のスタッフは総じて「いいものをつくっている/売っている」という誇りを持って働いています。不良品をお客様に提供するわけにはいかない、お客様の信頼を裏切るわけにはいかないという精神は、当社に長年受け継がれているDNAなのです。

おぶつだんの佐倉

私の知る限り、本格的な仏壇をつくっていたところが、自前で家具素材を使った現代的な仏壇をつくるようになったケースは森正さんくらいだと思います。素材そのものの美しさが引き出されていて、シンプルなデザインの中に垣間見える品位の高さのようなものに、皆さん、心が引き寄せられるのだと思います。

森正株式会社
森正株式会社

森正株式会社

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水曜日

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〒771-0201 徳島県板野郡北島町北村字鍋井3-9